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看護師転職ごっこ

転職を繰り返した看護師の私が毎日元気になれるよう、仕事、人生にふらふらしたときに気ままに書いています。

ナースの出会い【実習での出会い~小児実習~】

experience

私は、看護学校入学時から小児実習を心待ちにしていました。私の通っていた学校の小児実習は病院の小児科ではなく、療育園において肢体不自由児や重症心身障がい児の看護について学ぶという、とても貴重な実習体験ができると先輩から聞いていたからです。病院とはまた違った視点で、自分にできることや、可能性は無限にあると感じていました。

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長い間楽しみにしていた実習現場でしたので、受け持ち児と対面したときはとても嬉しくて、この患児に最高の看護をするぞ!とかなり高揚していました。しかし、実習が始まると、気持ちとは裏腹に、計画の難しさや成果が眼に見えて現れないもどかしさを感じるようになり、自分には能力がないのかも・・・・・・と落ち込むようになってきたのです。コミュニケーションも思ったようにとれない不安の中で、楽しみにしてしていた実習が、これほど苦しく感じられるものかと悩みました。

実習が半分を経過した頃、自分の中で成果が全く感じられず、疲れもピークに達していたある日、患児が思いがけない行動に出ました。障がいにより、きちんと眼を合わせたり、他者の判別や認識ができなかったはずの患児が、私に向かって「お姉ちゃん」と言いながら、背中に手を回し、ギューっと力強く抱きしめてきたのです。この瞬間の驚きと感動は未だに忘れることができません。彼女が何を感じ取り、私を抱きしめたのかは分かりませんが、自信を失いかけていた私はあまりの感動に、患児を抱きしめ返し、その場で泣いてしまったのです。

今思うと実習中にとても恥ずかしいことなのですが、それまで張り詰めていた緊張の糸が切れたように思いました。きちんと結果を出そうということばかりを考え、患児を看ていなかったのかもしれないと感じたのです。

患児は確実に成長していました。それに気づかず、看護を提供するんだ!という独りよがりな意識を持っていた自分が恥ずかしくなりました。私も患児を通じて成長させてもらっているのだと気付いてからは、実習に対する気持ちがずいぶんと変化し、患児とのコミュニケーションを通じて、常に成長度合いを把握しながら援助していくという、お互いの関係作りを基本にした看護の大切さを学ぶことができました。

看護は看護師が提供するだけでは何もできません。患者さんと共同して生み出すものだと思います。自らの知識や技術は看護においてはベースにすぎないのです。本来行わなければならないのは「個をいかに捉えるか」ということで、知識や技術の押し売りではないと体感した実習でした。隣地実習は看護だけだなく、自己を確立させる上でも学びの多い場です。

ライティング&投稿 小西 仁瑞