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看護師転職ごっこ

転職を繰り返した看護師の私が毎日元気になれるよう、仕事、人生にふらふらしたときに気ままに書いています。

看護師夜勤の弊害4|爆睡は生命の危険も

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佐々木さんは「爆睡」についても警鐘を鳴らす。

 夜勤、交代勤務に従事していれば、つい「寝だめ」することで睡眠不足を取り戻そうとしがちだが、「場合によっては突然死につながる危険をはらんでいる」というのだ。

佐々木さんらが行なった研究のなかで、普段は八時間眠っている大学生を対象に12日間連続で一日五時間しか睡眠を取らせず、その間、睡眠時の徐波睡眠の出現率やレム睡眠中の心拍数などを調べた実験がある。

徐波睡眠とは、睡眠の前半に集中して表れる、いわゆる深い眠りのこと。脳の機能を休ませるため、疲労回復に必要な重要な睡眠とされてきた。一方、レム睡眠とは、比較的浅い睡眠で、身体は眠っているが脳は活動している状態にある。夢はこのレム睡眠中に見ることが多いといわれる。
睡眠は通常、まず徐波睡眠が現れ、一、二時間後にレム睡眠に移り、以後、徐波とレムが交互に現れることがわかっている。大学生への実験では、実験開始から二日目までは徐波睡眠の出現率は全体の20%、レム睡眠時の心拍数は毎分60拍前後と、正常な数値を示していた。ところが、三日日以降、徐波睡眠の出現率が40.50%に増えると同時に、レム睡眠中の心拍数は毎分70拍近くまで跳ね上がったのだ。

「五時間睡眠が続いて疲れてきた三日日以降は、徐波睡眠が増えて眠りが深くなったわけです。時間は短いですが、いわゆる『爆睡』です。徐波睡眠で脳を体ませているからいいじゃないかと思われるかもしれませんが、同時に、この睡眠中、心拍数は急上昇して心臓はバクバク状態にあったわけで、身体への負担は増していたということです。実験からは、人間が一度に深い睡眠を取ろうとすると、心臓や血圧など循環器系の機能に深刻な負担をかけるということがわかりました」

これまでは、徐波睡眠を十分に確保できれば、疲労は回復すると考えられてきた。もちろん、このことは間違いではない。一方で、佐々木さんの実験では、徐波睡眠が多く出現して深く眠っていても、同時にレム睡眠中の心拍数が通常に比べて毎分10拍近く上がってしまうことが明らかになった。

この実験からうかがえるのは、看護師の夜動のなかでも長時間勤務となる二交代の16時間夜勤を終えた後の睡眠の危険性だ。16時間連続夜勤の後は疲労困燎し、その後の睡眠は三交代の時以上に深い眠りにならぎるを得ない。しかし、その睡眠は、ともすれば身体に深刻な負担をかけかねないことがわかったのだ。

佐々木さんが、深い眠りが命取りになった可能性があると指摘するのが、東京都済生会中央病院で過労死した看護師、高橋愛依さんのケースだ。高橋さんの病院には24時間拘束の当直があり、彼女は当直明けの朝、仮眠していたストレッチャーの上で意識不明になっているところを発見された。死因は致死性不整脈だった。

「まさに爆睡中だった可能性があります。睡眠は本来、疲労を回復する機会です。それなのに、高橋さんはその睡眠中に亡くなってしまったのです」佐々木さんは、16時間夜勤を伴う二交代を経費削減のために導入する病院が増えている実態についてこう警鐘を鳴らす。

「そもそも16時間夜勤は世界でも例がない、異常な長時間勤務です。諸外国では長時間夜勤といえば12時間夜勤のことを指します。人員不足や突然の同僚の欠勤などで例外的に16時間夜勤に就くことはありますが、その時に使われる言葉はDouble ・ 8 hour shift(ダブル・8アワー・シフト))。

あくまでも労働は一日8時間、16時間は二日分の業務に当たるという考え方です。16時間夜勤などという働き方があるのは日本だけなんです。

二交代勤務のように、『まとめて働いて、まとめて眠る』という生活スタイルが常態化すると、疲れきって深い眠りについている間に死に至りかねない危険があることが、実験結果からもわかりました。現在の三交代がうまくいかないからといって、安易に二交代を導入することは健康リスクの観点からも問題が大きいといわざるを得ません」