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看護師転職ごっこ

転職を繰り返した看護師の私が毎日元気になれるよう、仕事、人生にふらふらしたときに気ままに書いています。

地方の自治体病院、「看護師不足」その光と闇

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しばらくブログ記事の更新ができませんでした。
理由は職場を転職したからです。

現在の職場は以前とは違って、「過酷」で、そのため自由な時間を作れないのが理由です。

今回は、過疎地の病院についてのことを持っている知識の範囲内で書いてみました。都市部に住んでいると、まったく知ることができない看護師の仕事が理解できるでしょう。

では、早速!

 

過疎地の自治体病院には、「3ヶ月超え」で寝たきりの高齢者が回されてくることが多く、思うような看護ができないという問題があります。


「3ヶ月超え」

診療報酬制度が08年に改正され、一般病棟の入院が3ヶ月(90日)を超えると、入院基本料金が低くなります。3ヶ月超えとは、90日を超えて入院しており、基本料金が低くなた患者さんのこと。

民間病院は採算割れを気にして、退院を強制することが増え、自治体病院は退院を余儀なくされた患者さんの、転院先として受け皿とならざるを得ません。


3ヶ月超え患者さんのたらいまわし

自治体病院には、周辺の民間病院から、次々と「施設待ち・リハビリ目的」と言って、いわゆる脳梗塞やがんなどで、寝たきりになった高齢者が回されてくるのです。「08年以降、内科病棟では患者さんの半数以上が、寝たきりの高齢者となり、まるで老人ホームのようだ」と疑問を持つナースもいます。

 

病院本来の治療にも影響が

病棟ナースは、朝から患者さんのおむつ交換や清拭、痰の吸引などに追われて、バイタルサイン(血圧や心拍数など)のチェックはどんどん後回しとなってしまいます。

次々と辞めるので医師不足のため、医師からの指示は時間外にずれ込むために、看護師の残業も増えて行く。

整形外科や、精神科などの専門医がいないため、的確な処置を施すことさえできません。人工呼吸器をつける作業も、医師がマニュアルを見ながら行うと言う、ひやひやするケースも少なくないのです。

 

看護師としてのやりきれなさ

たらいまわしにされた、「3ヶ月超え」の患者さんも、様態が良くなって介護施設に入所したり、在宅介護を受けるようになることもあります。

 

しかし、施設の職員や家族が痰を上手く取れずに、肺炎を起こして帰ってきてしまう患者さんもいる。

「せっかく良くして、退院できたのに、戻ってくるのでは、一体私は何をして上げられたのだろう」とやりきれない思いを抱くことも、少なくありません。

 

 

深刻な看護師不足

ある自治体病院は看護師不足に、年齢制限を失くし、「資格さえあれば誰でもよい」状態。近隣に民間病院は無く、地域の開業医は無床診療所、老人保健施設も、たらいまわしにする先もないので、寝たきりの患者が行き場を失くし、入院しています。

研修医の獲得には熱心で周囲に総合病院が無いため、症例も多く、研修医には人気があります。特に心臓カテーテル検査の件数は多く、医師が腕を磨くために、必要のない患者さんにまで、カテーテル検査を進めるため、一日の検査が多くて看護師は大変です。

常にオーバーベッド状態で、3交代の夜勤も月に10回~12回という多さです。実は看護師の配置基準を、クリアできていないにも関わらず、実際には病棟にいない、検査室や中央処置室の看護師の名前を、借りているために現れた歪みなのです。

 

幽霊看護師

看護師の偽装は全国で多発しています。「認定看護師の資格を取るために、講習に出ている看護師の席を病棟に置いたまま」のケースもあります。実際は勤務していないのに、看護配置基準をクリアするための、「幽霊看護師」も少なくありません。


看護師が減り、患者さんは増える。実際の看護配置が基準とかけ離れ、長時間労働、激務、追い打ちをかけるように自治体病院の看護師の賃金引き下げも議論されています。


自治体病院の闇

自治体病院の病床数は全体の約7分の一程度ですが、過疎地医療拠点となる自治体病院は、全体の約7割を占めています。救命救急センターや小児救急等の不採算部門も、自治体病院に頼るところは大きい。

赤字で民営化の決断、不採算部門と言われる産科や小児科などの診療科が、自治体病院から消えようとしています。いつ急変するかも分からない妊婦が、クルマで1時間以上かかる病院でしか分娩できない状況も問題の一つ。

自治体病院は、地域医療を守るために患者さんの、「たらいまわしはしない」と決めても、医師や看護師が過重労働に追い込まれ、体力的にも限界が来て、定年を待たずに辞めるケースも増えています。

儲かる経営と危険な医療

自治体病院は、地域医療のセーフティーネットとしての役割があり、儲かる経営に転換することはできません。一方、最高峰とも言われる病院では、診療報酬の点数を稼ぐため、看護師自信が、不必要と感じるインシュリンの頻繁な投与、現場の管理状況を無視した、混合病棟体制などの「危険な医療」による黒字化も行われています。

 

高齢者特有の診察報酬

認知症患者が増えている現場では、患者さんの転倒、徘徊、点滴の引き抜きなどの見守りをするだけで、精一杯です。拘束せず、転倒もさせないという看護体制は、現状では非常に難しい。

新人看護師や、看護学生に看護のやりがいを、教える事も難しいのです。高齢者特有の診療報酬加算が無ければ、現場は持たない状況に追い込まれています。

 

 

看護師不足の原因は?

 

新聞やテレビなどのメディアで、慢性的な看護師不足の問題が取り上げられるようになって久しいですが、医療現場の実態や看護師不足の原因については、まだまだ広く認知されているとは言えない状況にあります。

 

そもそもこれほどの看護師不足が引き起こされるようになった原因は、一体どこにあるのでしょうか?

 

 

看護師不足の実態

 

「必要な看護師の数に対して、実働している看護師が不足している」

「現在、病院などで働く看護師の数は約140万人存在するが、資格がありながら看護職につかない潜在看護師の数は70万人を超える」

 

こういった情報が新聞やテレビのニュースで取り上げられることは少なくありません。しかし、看護師不足の実態について報道されることは、意外に少ないというのが実情です。

 

日本看護協会のホームページで公開されている資料によると、看護師国家資格の合格者数は、毎年5万人ほどとされています。これは正看護師に限った数字ですので、准看護師試験合格者を加えると、毎年看護師資格を取得する方の総数はさらに多くなるはずです。

 

また、実は直近10年間の看護師の現役就業者数を見てみると、1万5,000人から4万人ほどの幅で増加し続けています。「医療現場で働く看護師は慢性的に不足している」この事実は一般にも広く認知されていますが、看護師として働く方の数が増加しているという点に関しては、あまり知られていないのではないでしょうか?

 

事実、現役看護師数は平成15年末現在では約127万人とされていましたが、平成24年現在では約154万人にまで増加しています。実は、厚生労働省は平成24年の時点で必要とされる看護師の数を「143万人」と発表していたため、数字上では約10万人ほど看護師数には余裕があるということになっています。

 

にもかかわらず、医療現場で看護師不足が解消したという話は一度も聞かれたことはありません。それどころか、医療現場における人員不足は深刻さをましており、看護師の欠員を理由として閉院する病院やクリニックも出始めています。

 

 

看護師不足で閉鎖、機能停止などが起こっている

 

例えば、07年7月には看護師の欠員を原因として東京都保健医療公社荏原病院の産科病棟が閉鎖しています。この荏原病院では、看護師定数316人に対して欠員が58名と非常に高い割合にあり、閉鎖前に病院機能が維持できなかったことが簡単に推測されます。

 

2010年には深刻な看護師不足により、奈良県の基幹病院が機能の一部停止に追い込まれています。県立奈良病院(奈良市)が病床休止を余儀なくされた背景には、大都市圏の病院に医師や看護師の人気が集中する医療の『地域偏在』問題がありました。

 

また、平成26年6月には千葉県が県内59病院で計2517床が未稼働と発表しましたが、この内38の病院が稼働できない理由を「看護師が不足している」としています。

 

看護師資格取得者の数は増加傾向にあり、現役で働く看護師数も年々増えてきているにもかかわらず、医療現場では人員不足が深刻な状況にあるというのが実態なのです。

 

厚生労働省が発表する「必要な看護師数」を超える現役看護師が稼働していても、なお看護師が不足してしまう原因にはどういったものがあるのでしょうか?

 

 厚生労働省が試算する必要看護師数を超える現役看護師が活躍しているのに、何故深刻な人手不足が起きているのか?

 

この点に関しては専門家の多くが「試算自体が甘い」と断じています。計算上は看護師が足りているが、実態にそぐわないという訳ですね。では、実際に看護師不足が起きている原因にはどういったことが考えられるのでしょうか?

 

 

原因1 7対1看護の弊害

 

看護師不足の問題を考える上で、外すことができないのが7対1の看護配置の影響です。

 

7対1の看護制度は2006年の診療報酬改定に伴って推進されたもので、簡単に説明すると入院患者7名に対して看護職員1人配置する制度・体制を指します。

 

この7対1の看護配置は

・看護師が従来よりも多く配置されるため、患者さんが質の高い看護を受けられる

・離職率を高めていた過重労働が緩和される

・病院側は入院基本料が加算され収入がアップする

(例えば10対1だった病院が7対1の配置体制を導入することで、100床当たり1億円の診療報酬増)

 

といったメリットがあるため、一見すると患者さんも看護師も病院も3者満足できる配置のように感じられます。しかし、実際には非常に大きなデメリットも内包している制度でもあったのです。

 

この制度は「看護師が多く配置された場合に限り、報酬額が高くなる」という性質を持つため、看護師を数多く引き抜いて配置数を増やす病院や、病床数を減らして一床当たりの看護師数を増やす病院・医療機関などが続出しました。

 

その結果、大病院が中小規模の病院から看護師を引き抜いたり、新卒者の行きすぎた青田刈りなどが行われたりと、医療現場に大きな混乱がまねかれることになりました。

 

また、病院側が看護師を多数抱え込みながら病院全体の人件費を増やすことはせず、看護師の給与水準を下げたり、サービス残業や業務量の増加などを課すといった問題も続出しました。

 

これをきっかけとして、労働日数の増加や過酷な職場環境に耐えかねて離職する看護師が一気に増え、現在の深刻な看護師不足の一因となったとも言われています。

 

また、7対1看護配置に対応できた規模の大きな病院はまだしも、給与水準や待遇面で見劣りをしてしまう中小病院は従来よりもますます人員確保が困難となってしまい、運営自体を継続できないといったケースも散見されました。

 

推進から10年近く経った今でも、7体1看護配置は看護師不足の大きな原因の一つとして数えられています。

 

看護師不足は今もあまり変わりありません。

 

その理由として、看護師はまだまだ女性が多く、妊娠、結婚、出産で仕事を一度中断する。その後に、それらが落ち着いた後に復帰したいと思うもブランクがあき、自信がない人も多くいます。(この辺は看護協会が研修を充実させていますが、看護師として数ヶ月しか働いたことのない人、看護学校卒業と同時に出産し、まったく働いたことのない人はなかなか復帰が難しいです)

 

人間関係や理想と現実のショックから新人看護師がすぐに辞めてしまい、その後も看護師には戻らないケースもあります。(こちらは一時期高かったのですが、夜勤の開始を遅くしたり、新人教育を充実することで減ってきているようです)

 

また、高齢化に伴い看護師が必要とされる場所が病院だけでなく、介護分野にも多く求められるようになりました。民間企業も介護分野に参入し、今や通所介護施設(デイサービス)はかなり沢山できています。そのデイサービスある人数以上の利用者を受け入れたり、看護師にしか行えない医療処置がある利用者がいる場合は1日1人は看護師がいないといけません。

 

老人保健施設にだって介護士だけではなく、看護師も必要。また、共働き世代の増加により保育園も増えていますね。この保育園にも、看護師が必要なのです。これらの働く場所で必要とされる数が増えているためあまり看護師不足は解消されていません。

 

また、TPPにより、フィリピンやインドネシアから看護師候補生がきましたが。あくまで、看護師候補生のうちは、現場で無資格でもできる看護助手として働きながら、日本語や日本の看護について学び、指定された年数のうちに日本の看護師国家試験(現在の看護師国家試験は受験者の国籍に関わらず日本語で行われます)に合格してからでなければ、「看護師」にはなれず、国に帰ります。

 

H23年看護職の就業人数約150万人(1,495,572)

2025(H37)必要職員数200万人

 

約50万人の不足です。

 

補足として…

2011年 看護職員数約150万人

新規資格取得者 4.9万人

離職者 15.7万人

再就業者 13.3万人

潜在看護職員 55万人

{資料参考:厚生労働省)

 

少子化が進んでいるので看護学生の確保が問題となっています。

 

これからの看護に期待すること

 

今は寝たきりの患者さんも、入院してすぐに手をかけられれば、寝たきりにならない可能性が大きいはず。「看護職を増やして寝たきりを増やさない医療」に向かうべきでは、と考える医療従事者も多いです。

「給料が下がっても、この病院で、この地域を守りたい」という医療従事者の良心に頼っている現状は、既に限界にきているといえます。

 

それでも、「患者さんを元気にして治し、返すのが私たちの誇り」と看護師は日々患者さんのお世話をしている。