看護師転職ごっこ

転職を繰り返した看護師の私が毎日元気になれるよう、仕事、人生にふらふらしたときに気ままに書いています。

妊娠しても看護師は過激!夜勤を強いられる理由

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東北地方の国立大学病院で働く観月ありささん(仮名)は、過労とストレスのあまり、不妊の原因となる無排卵月経を起こした。ありささんは、新卒で地元の国立大学病院に就職。外科病棟に配属された。

 勤務は3交代。日勤の時は、始業30分前には無賃で仕事を開始する。就業時間内に仕事が終わることはなく、連日19時頃まで2時間は残業する。ひどい時には21時まで居残り、そのまま深夜勤に入ることもしばしばだそう。

そうした状況下、職場では「妊娠する順番」がささやかれて激務からずっと「辞めたい、辞めたい。どうしたら辞めることができるか」と思い続けていたありささんは、この状況から脱するには「妊娠を理由にするしがない」と思った。

責任感から何の理由もなく退職もできず、辞めたいと言ったところで引き止められるからだ。

看護師の離職理由

日看協の「潜在ならびに定年退職看護職員の就業に関する意向調査」によれば、潜在看護師(看護師免許を持っていながら働いていない)の離職の理由は

1位は妊娠・出産(30%)

2位は「結婚」(28.4%)

3位が「勤務時間が長い・超過勤務が多い」(21.9%)

となる。

これらの離職理由の背後には、労働問題が色濃く隠されています。2008年3月にありささんは、地元の自動車関連会社で働く男性と結婚しました。すぐにでも子どもが欲しかったが、授からない。

月経不順が続き、基礎体温が正常に推移しないことを不信に思い、6月に産婦人科で診てもらうと、無排卵月経を起こしていました。それが「もう辞めてしまおう」と8月に決意したとたん、翌月は排卵し妊娠しました。

ありささんは、「無排卵の原因は、仕事の忙しさやストレスだったのだ」と確信した。

念願の妊娠に正式に退職を願い出たが、師長からは引き止められた。それに、不況もあって夫の月給は手取りで約18万円。これで家計が支えられるかと考え直し、限界まで働き続けることにした。

妊娠しても辞められない

ところが、妊娠について師長に告げると、病院内でもっとも忙しい心臓外科の担当に変えられました。妊娠中も月10回もの夜勤が組まれた。違法であるにもかかわらず病院内のルールにより、夜勤は産前休業に入る1週間前からでしか免除されない。

また、ありささんの勤める病院は「10対1」看護配置だったが、2009年4月から「7対1」をとるため、その年は新卒で100人が大量採用されました。人員に厚みが増して業務が軽減されると思ったが、ありささんは新人教育も任され、かえって疲弊してしまいました。

教えた甲斐もなく、新人は激務についていけず、ごっそりと辞めていった。深夜勤では、仮眠もとらないままあっという間に過ぎる。妊娠7カ月の頃、新人とペアになって深夜勤に入った時は、仕事が終わらず昼前までかかった。

「深夜・準夜・準夜」のシフトや「日勤・深夜・(深夜明け)・日勤」が続くこともある。

外来に異動したくても、空きはない現状

国立大学病院が独立行政法人化してから運営費が毎年2%削減された影響で、外来の人件費が真っ先にカットされ、看護職はパートなど非常勤職員に置き換わってありささんら正職員が異動する余地がまったくないのが現状です。

「流産の覚悟をしながら働き続けた」というありささんは、ちよっとでも出血や腹痛があったり、胎動を感じなかったりすると、すぐに産婦人科にかかった。

2009年、流産せずに男児を出産できたことが奇跡に近いと感じた。

こうした看護職の母性保護が守られていない状況は、医療保険の給付結果を見ても明らかです。日本医労連共済では2010年4月までの4年間、組合員本人の病気の医療給付件数は、女性のトップが「妊娠・分娩時の異常」で1524件、2位は「その他」の1299件だが、3位は「がん」の882件で、うち22%が乳がん、26%が子宮・卵巣がんとなっている。

休むな、倒れるまで働け

北関東の民間病院(約900床)の看護師、松下由樹さん(仮名)もオべ室勤務時、具合が悪くても師長から「休むな、倒れるまで働け」と言われた。不妊治療中の約8年前、排卵誘発剤を使用するため卵巣が腫れ上がる卵巣過剰刺激症候群にかかり、激しい腹痛などの症状に悩まされた。

ある日、お腹の張りがひどく激痛に耐えられなくなった。休みたかったが、師長は「人がいないから働いて」の一点張り。

そのまま輸血用の血液パックを何十単位も運んで走り回った。当直の日、16時から翌9時までの万歩計は1万7000歩となっていた。そのうち、本当に倒れてしまい、オぺ用の衣服のまま同僚に抱えられ産婦人科にかかると、「緊急入院だ」と医師から怒られた。

1週間の入院治療となり退院すると、翌日から再び激務に迫われた。

こうした状況は今でもまったく変わっていないという。

激務には人員不足以外の理由もあった。近隣の公立病院は診療時間が過ぎ、土日祝日になると救急搬送や救急外来を受けないため、由樹さんの勤める病院にやってくるのだ。

その分、職員の負担が増していた。由樹さんは「それがわかるから師長にひどいことを言われても恨めなかった。師長も追い込まれていたのだと思う」とうつむいた。

病棟勤務の時も、風邪をひいたからといって急に休めず「8度台の熱までは解熱剤の注射を打ってもらって夜勤をこなす」というあまりの過酷さに新人の5割はその年のうちに辞めていく。

 

病院全体に700人ほどの看護師がいるが、毎年200人の看護師が入れ替わっている。