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看護師転職ごっこ

転職を繰り返した看護師の私が毎日元気になれるよう、仕事、人生にふらふらしたときに気ままに書いています。

明日は我が身、医療訴訟の実態

医療訴訟のニュースを目にすることが多くなってきました。確かに、ずさんでいいかげんな治療をしている医師や病院も存在します。でも、ナースの立場からすると、時々「やりきれないなあ」と思うことがあるのも事実。なぜなら、"どうしようもない事態"で医療訴訟に巻き込まれてしまう、というケースも少なくないからです。

私の看護学校時代の友人・Kも、そんな医療訴訟に巻き込まれてしまったひとち。外科に勤める彼女、とある高齢の男性患者さんの担当をしていたそうです。病状は悪かったものの、なんとか歩ける程度だったその患者さん。ところが彼女の勤務中、その患者さんがトイレから帰ってくる途中に足を滑らせて軽く転んでしまいました。幸いぶつけたところもなく、そのときは大事には至らなかったらしいんですが・・・・・。
次の日、その患者さんは急変して亡くなってしまったんです。
もちろん、前の日に転んだことは直接の原因ではありませんでした。でもおじいちゃんの死を悲しむ遺族からは、
「転んだのが原因じゃないか?」
と追及。そして、遺族は、病院側を相手取り医療訴訟を起こしました。彼女は裁判所に呼ばれ、根掘り葉掘り勤務状況やそのときの様子を聞かれ・・・・・。結局、裁判は病院が患者さんの家族に和解金を払うことで決着がついたとのことですが、彼女はその一件ですっかりまいってしまいました。彼女だって、患者さんに助かって欲しいという気持ちは家族と一緒。
「なんだか、自分が責められている気分になって。本当にやりきれなかった」
と彼女は言ってました。それからしばらくして、彼女はその病院を辞めました。相当心労は激しかったようです。私は友人として、彼女がそのままナースを辞めてしまうのでは・・・・・と内心心配していたのですが、しばらくして彼女は別の病院に再就職。今でもバリバリ働いています。

でも、このように心労で辞めてしまうナースも少なくありません。私も悲しい経験をしたことがあります。以前、担当患者さんで手術中に亡くなった方がいました。それはミスではなく、元々危険な状態だったので不可抗力だったんですが、遺族の方は納得しません。そしてその遺族の方は、医師相手にこう言ってきたそうです。
「これは医療ミスですよね。こちらの親族にはマスコミの人間もいます。そちらの態度次第では、マスコミにこのことをバラしますよ」
そして、病院側に暗に金銭を要求してきたとか。
「それはおかしいですよね。それならば逆にこちらから金銭を要求されたと公表します。そうするとそちらが困るのでは?」
毅然とした態度で医師が言うと、遺族は引き下がったそうですが、こんなこともあるんだ、とゾッとした瞬間でした。
でも今や、医療訴訟はちょっと大きな病院だったら、どこの病院でも1~2件抱えているものです。しかも裁判って、最低でも1年以上かかります。友人の勤める病院でも訴訟がありましたが、結局途中で病院側が和解を選んだらしく、そのとき関わって責任があった医師たちが数人で、合計何千万円というお金を払い続けているとか。でも、金銭で和解しようとすると怒ってしまう遺族の方もいるみたいで、ここもまた難しいところです。

サスペンスドラマなんかで、医師が医療ミスの責任をナースに押しつけて・・・・・なんて描写がありますよね。でもナースが間違った投薬をして患者が死亡した場合でも、責任をとらされることはほとんどありません。基本的に患者への責任は全て主治医が負うことになっています。そうは言っても、私たちナースが日々勉強を怠らないようにするのは当然ですが。

ライティング&投稿 小西 仁瑞