看護師転職ごっこ

転職を繰り返した看護師の私が毎日元気になれるよう、仕事、人生にふらふらしたときに気ままに書いています。

看護師の二交代、三交代が割れる意見

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今、こうした夜勤・交代勤務を取り巻く環境にある動きがある。「三交代」勤務から「二交代」勤務への切り替えだ。

 従来の三交代が「日勤」「準夜勤」「深夜勤」なのに対し、二交代では、勤務形態を「日勤」と「夜勤」の二種類に分ける。拘束時間は、日勤と夜勤ともに一二時間とする形態もあるが、主流は日勤を八時間、夜勤を午後四時.翌日午前八時など一六時間以上の長時間勤務とするパターンだ。

二交代は一人あたりの夜勤回数を減らすことができるため、病院にとっては人件費を削減できるほか、出退勤が公共交通機関の利用できる時間帯に当たるため、交通費などの経費も抑制できる。また、患者にとっては看護師の顔ぶれが変わる回数が減るとされ、看護師にとっても準夜勤と深夜勤を一度にこなすことになるため、夜勤回数が減り、休日が増えるというメリットがあるといわれる。 

一方、一六時間もの長時間、連続して夜間に働くようなシフトは世界的にも例がない。健康や業務の安全性への影響を懸念する声は根強く、看護師の現場でも、二交代と三交代をめぐる賛否は割れている。

二交代賛成の声

東京都内の民間総合病院に勤務するマリさん(三五歳、仮名)は、二〇一〇年春から導入された二交代を「家族団らんの時間が増えました」と歓迎する。二交代では、「日勤―深夜勤」や「準夜勤」のとき、夫や子どもが学校から帰ってきてから眠るまでの時間帯をゆっくりと一緒に過ごすことができなかった。

これに対し、二交代なら夜勤日以外は夕方から夜にかけて家にいられる。多い場合には月一〇回だった夜勤は、二交代導入後は半分に減ったという。「まとめて働いて、まとめて休むという感じです。急性期病院なので、確かに二交代の夜勤明けは抜け殻のようになってしまいますが、生活全体にメリハリがつくので、今のほうが心身ともに状態はいいみたいです」

マリさんにとって一番ょかったことは、小学校低学年になる子どもが精神的に落ち着いたことだ。以前は夜勤が続くと、出勤前にぐずったり、指しゃぶりが復活したり、酷いときはおっぱいを欲しがるといった「赤ちゃん帰り」が見られたが、二交代になってからは、ぴたりと治まった。

職場でも今のところ、二交代のせいで体調を崩した、ミスを犯したといった事例は出ていないという。二交代導入に伴い、残業を減らし、仮眠を確実に取ることを申し合わせたため、二〇歳代の独身の後輩たちの間でも「プライベートな時間が増えた」「(英会話や水泳など)稽古事に通うことができるようになった」「合コンの時間に遅れずにすむようになった」など、二交代はおおむね好意的に受け入れられているという。

「残業時間が減ったので給与は年間で二〇万円ほど下がりそうです。でも、勤務時間が減ったのですから、仕方ないです。私にとっては、家族団らんが何よりの幸せですし、そのことが仕事へのやる気にもつながっています」

反対の声は

夜勤明け、自家用車で帰宅途中だったトモコさん(三二歳、仮名)はその瞬間、後方車のクラクションが別世界の音に聞こえたという。時間にしたらものの数秒だったのかもしれないが、信号待ちで一瞬、うたた寝をしてしまったのだ。じつは、帰宅途中の「事故」はこれが初めてではない。

半年ほど前は、ハッと気がついたら、水田の間を通る道路の路肩に停車していたことがあった。交通量の少ない道路だったため大事には至らなかったが、彼女は不安そうに打ち明ける。「マイカー通勤なんですが、最近、夜勤明けはへとへとになってしまって、どうやって家に戻ったか、記憶がないことがあるんです」

トモコさんが勤める国立病院機構の職場では、三年前に二交代を導入。午後四時半から翌日の午前八時半までの一六時間勤務だが、実際には午後三時半には出動して新規入院患者の基礎データなどを頭に入れなければならず、翌朝は書類仕事が午前一〇時近くまでかかる。

結局、二〇時間近くを病院で過どすことになるという。それでも、独身のトモコさんにとって、夕方以降に余裕ができることはうれしいことだった。夜勤明けでも、翌日が休みの場合はデートや趣味を楽しむこともできた。しかし、順調だったのは最初の一年まで。最近は疲れが取れなくて困っているという。

「夜勤明けは、顔も洗わずにベッドに倒れこむんですが、目が覚めると翌日の早朝になっていることがあります。二〇時間近く『爆睡』してしまうんです。そういうと、四、五〇歳代の先輩看護師からは『続けて眠れてうらやましい』と言われるんですが、疲れが取れたというよりは、眠ったはずなのに、かえって疲れたなあという感じなんですよね」

二交代と関係があるかわからないが、最近、同僚の一人は生理が止まってしまったという。「ただ、なんとなく、私たちの身体のどこかで異変が起きているような気がしてならないんです」

職場のヒヤリハットは確実に増えた

トモコさんによると、三交代のときは準夜勤から深夜勤に引き継ぐ午前○時ごろは、それぞれの勤務の看護師が残業をしたり、早めに出勤したりするため、前後三時間程度ではあるが、人手が増えた。ところが、二交代になってからは、 一晩を通してきっかり三人体制になった。このため、 一人当たりの業務は過密になったと感じるという。

加えて、一六時間夜勤は長時間にわたり拘束されるため、交代要員を見つけづらい。体調を崩しても代わってくれる人が見つからず、出勤せざるを得ないことが多い。

「仕事量が増えたうえ、体調も悪いとなると、集中力が落ちてしまいます。明け方近くのうっかリミスが増えています」とはいえ、三交代に戻りたいとは思わないという。「問題は人手不足なんです。この根本の問題を解決しないと、二交代でも、三交代でも結果は同じことです」

医労連による二〇一〇年度夜勤実態調査では、三交代と二交代の職場の割合は、三交代七四・五%に対して二交代二五・五%だった。圧倒的に三交代が主流だが、二交代は二〇〇五年度の八・三%と比べると一七・ニポイントも増えており、その割合はじわじわと高まっている。

二交代が増える背景には、病院にとって経費削減メリットがあるためと思われる。

医労連は労働強化につながるなどとして二交代導入には反対の立場。日本看護協会も「一概に問題とは言えない面もあるかもしれないが、現在の人員を増やさないまま、急性期病院のような業務密度の高い職場で一六時間にわたる長時間夜動を導入すると、医療事故につながりかねない」(広報部)として、二交代から二交代へのなし崩し的な移行については慎重な姿勢を見せる。

二交代か、それとも二交代か。人手不足という根本的な問題を置き去りにしたまま、シフトの組み換えによる小手先の「経営効率化」が進んでいる夜。