看護師転職ごっこ

転職を繰り返した看護師の私が毎日元気になれるよう、仕事、人生にふらふらしたときに気ままに書いています。

コンビニの時給と変わらない!職場から消える看護師と医師

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厚生労働省によると、看護師資格を持ちながら、何らかの理由で退職、その後復職していない「潜在看護師」は全国で約55万人に上る。

 同志社大学が独自に行なった調査では、その数は65万人ともいわれ、これは現在、働いている看護師数の半分に匹敵する。つまり、看護師の資格を持つ者のうち3分の1がその資格を生かす仕事に就いていないことになる。

潜在看護師は55万人

日本看護協会が2006年度、潜在看護職人の離職理由(複数回答)について調査したところ、最も多かったのは

  1. 「妊娠・出産」(30.3%)
  2. 「結婚」(28.4%)
  3. 「勤務時間が長い。残業が多い」(29%)
  4. 「子育て」(27%)
  5. 「夜勤の負担が大きい」(17.8%)
  6. 「健康問題」(16.4%)

 の順番だった。

看護職員の離職率

また、同協会がまとめた2009年の常勤看護職員の離職率は11.9% で、前年の12.6%に比べて0.7ポイント減った。11%台は2004年以来、5年ぶりに増加傾向にあった離職率に歯止めがかかったようにも見えるが、同協会は「不況の影響で離職を思いとどまる看護師が増えただけで、労働条件が大きく改善された結果ではない」と分析する。

こうした離職理由や離職率を踏まえたうえで、同協会の小川忍理事は「看護師を取り巻くあらゆる問題の根っこには人手不足があると言っていいでしよう。そして、その実態は絶対数の不足ではなく、離職者が多いことによるものです。いかに辞めさせないか、さらには、辞めた看護師にどうやって戻ってきてもらうか。それが今後の取り組みに求められるポイントです」と指摘する。

年代別の求職者数の推移

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出典:公益社団法人 日本看護協会

多くの関係者が指摘する看護師不足。一方で、2008年度の厚生労働省の調査によると、医療法で定められた看護師標準数を充足している病院は98.9%に達している。また、OECD(経済開発協力機構)によるヘルスデータ2010年度版でも、日本の人口1000人あたりの看護職数は9.5人と、OECD各国平均9.0人と比べてそん色ないようにみえる。

 にもかかわらず、人手不足との声が絶えない背景には、こうした数値からはうかがえない看護師をめぐる医療環境の急激な変化がある。

  1. 現場からは人手不足の背景にある問題として、
  2. 医療技術の向上に伴う業務増
  3. 患者の高齢化に伴う業務増
  4. 夜勤の負担増
  5. 平均在院日数の短縮化に伴う業務の濃密化
  6. 個人情報保護やインフオームドコンセントなどに伴う書類仕事の増加
  7. 医師が担ってきた業務の看護師への移行

 などの指摘がある。

 医療技術が向上して交通事故の救命率やがんの治癒率は飛躍的に高まった。このこと自体は歓迎すべきことなのだが、一方で、看護師は一時も気が抜けない緊張感の下、人工呼吸器や心電図のチェック、中心静脈栄養や抗がん剤の投与などに追われることになった。

また、世界的にも高齢化が進む日本では、認知症患者が増加。これに伴い、褥塘(床ずれ)ケアや体位変換、夜間の徘徊見回りなどの介護業務が増えた。こうしたことから、労働密度は昼・夜問わず高くなっている。にもかかわらず、夜勤の人員体制は日中に比べて縮小されるため、看護師の夜勤時の負担は計り知れない。

全国の病院は経営効率化のために平均在院日数の短縮に取り組んでいる

厚生労働省の統計では、「一般病床」の平均在院日数は1999年の27.2日から2009年には18.5日と、この10年で10日間近く短くなった。そうなると、入院患者の入れ替わりが激しくなり、看護師は新規患者が増えるたびに、新たに基礎データを収集し、看護計画を立てなくてはならない。

また、病院が収益アップのために「ハイケアユニツト入院医療管理料」「褥療患者管理加算」といった診療報酬上の加算を取得する際に必要となってくる書類作成も看護師の仕事。

患者や家族に治療内容を説明、承諾を得るインフォームドコンセントや、個人情報保護に関する書類作成も看護師に回ってくる。このほか、病院によっては、医師の負担を減らすため、従来は医師がこなしていた栄養チューブ挿管や抗がん剤投与などを看護師の仕事としてシフトするところもあるという。

患者7人に対して看護師1人を配置する7対1配置基準の導入は、このようにかつてなく過重労働が進んでいた現場にさらなる打撃を与えた。都市と地方における看護師の偏在を招き、人手不足の問題を一層複雑にしたのだ。

看護師の仕事の質は落ちる

いずれにしても、看護師の仕事の質はもはや旧来の標準数や配置基準でははかれないほどに変質してしまったことは間違いない。医労連の労働実態調査で、「辞めたい理由」(複数回答)

  • 「人手不足で仕事がきつい」(46.1%)
  • 「賃金が安い」(37.0%)
  • 「思うように休暇が取れない」(35.4%)

 だったことも、こうした現場の皮膚感覚を反映している。

 日本看護協会の小川理事は看護師資格を持つ男性として初めて同協会の理事職に就いた。自らの現役経験を踏まえて「この間の10年、20年で看護師の仕事は様変わりしました」という。

そのうえで看護師不足はベッド数の削減や手術の受け入れ制限、医療事故を誘発する可能性をはらんでいるとして「看護師不足は病院内部だけの問題ではありません。医療サービスヘの質の低下にもつながりかねない、社会全体で考えるべき問題なのです」と訴えてます。

医師の当直は違法なただ働き

「時間外労働 休日労働に関する協定書」と題されたA4判の書類の「延長することができる時間1ヵ月」との項目欄に、手書きで「120時間」と記入されている。別のはがき大の書類○○大学附属病院 給与明細」の「当直手当」欄には16万円」とある。

 3年前まで北海道内にある自治体病院の内科医だったツヨシさん(49歳、仮名)によると、これらは「僕が違法に働かされてきた証拠」だという。「時間外労働 休日労働に関する協定書」とはいわゆる「36協定書」のこと。

 労働基準法は本来、「1日8時間、1週40時間」(法定労働時間)を超えて働かせてはならないと定めているが、例外的にこれを超えて残業をさせる場合、労使は同法三六条に基づき協定(三六協定)を結び、労基署に届け出なくてはならない。

 協定の有効期間は1年間で、残業時間の上限は1ヵ月45時間。例外的に「特別条項」を設ければ、「一時的、突発的に時間外労働を行わせる必要がある」場合に限り、上限を超える協定が認められる。

 ツヨシさんが働いていた病院の協定書では、1ヵ月ぁたり120時間と、上限を大幅に上回る残業が認められている。欄外には「業務がひっ迫した場合」は上限を超えて延長できる旨を記した「特別条項」とみられるただし書きがある。が、ツヨシさんによると、長時間残業は年間を通して常態化していたといい、特別条項は「法律の網の目をくぐるためのつじつま合わせ」。

協定書は事実上違法な代物

また、給与明細にある当直手当6万円は当直4回分にあたる。拘束時間は午後5時から翌日の午前8時までの15時間だが、時間外手当などは支払われておらず、「一晩15,000円ぽっきり」。

 しかし、ツヨシさんによると、当直は日中の忙しさとあまり変わらない。二次救急を担っていることに加え、患者が軽い症状でも夜間外来を利用する「コンビニ受診」のせいで、まったく仮眠が取れないこともあるという。

 「当直を時給換算すると、15,000円を15時間で割ってちょうど1000円。コンビニの夜のアルバイトとほとんど変わりません」

 一定額の手当が支払われるだけの当直は労働基準法上の「宿日直」にあたる。しかし、宿日直は常態としてほとんど仕事をする必要がない場合にのみ認められる。ツヨシさんの当直のように、仮眠も取れず、日中の忙しさと変わらない夜間勤務の場合は、本来、時間外や深夜割増手当を支払わなくてはならない。これでは、違法なただ働きを強いられているに等しい。

 それでも、ツヨシさんは1500万円を超える年収や、自治体が住居も用意してくれる待遇に「ま、いいか」と思っていたという。しかし、2004年度に研修医が自由に研修先を選べる新臨床研修制度が始まったころから、過重労働が骨身にこたえるようになった。若手の研修医はツヨシさんが勤める北海道の地方にあるような病院には行きたがらない。

 このため、常勤内科医の人員は一時、半減。月4回だった当直も次第に増え、っいには月の3分の1を病院に泊り込むようになった。休日、無給で緊急呼び出しに備えたこともあったという。

まとめ

 「同僚の中には『俺たちの代わりはいない』とか言って、ふらふらになりながら頑張っていたやつもいましたが、いまや医師は聖職なんかじゃありません。もういっぱい、いっぱい。仕事に殺される前に、逃げなきゃいかん。そう思ったんです」

 ツヨシさんは同僚の内科医数人とともに辞表を提出。現在は東京都内で非常勤医として複数の病院を掛け持ちしている。