看護師転職ごっこ

転職を繰り返した看護師の私が毎日元気になれるよう、仕事、人生にふらふらしたときに気ままに書いています。

看護師が広い心と深い懐で仕事をするのは、全ては患者さんのため

病棟に勤務する看護師さんは、毎日患者さんのケアに奔走しています。体温や血圧、脈拍などのチェックから食事の補助に下の世話まで、ひとりひとりの患者さんに献身的な看護をしています。患者さんにとっても入院は、生活そのものですから自分でできない事は全て看護師さん頼みになります。といっても、わがまま放題な患者さんは、「正直言って嫌だ~!」と思うのも看護師さんのホンネ。仕事とは言えそんな気持ちをぐっと抑えて、ケアする看護師さんには頭が下がりますね。

暴れたり暴言をはきまくったりと、とにかく粗暴な言動をする患者さんが、看護師さんにとって「嫌な患者」というイメージがありますが、県立総合病院神経内科病棟勤務のW子さんによると「病気を治す気力がない患者さんがイチバン厄介」だそうです。特に、治る可能性があるのにネガティブな態度をとる患者さんは敬遠したくなると話しています。患者さんにも「やる気」が必要で、モチベーションが低いのは本当に困りものだと言います。

確かに、「病は気から」とも言いますし、「笑う」ことで免疫力がアップする他に健康にもプラス効果があると言われています。患者さんからしたら、「病気で入院してるんだから、楽しいことなんてないよ」という気分かも知れませんが、前向きな気持ちでいて欲しいものです。「これは看護師さんにとって良い患者さんでいるというより、患者さん自身のためなんですよ」と、W子さんは語ってくれました。

一方、90歳以上の超高齢者とは言え侮れない場合がありますよ、と都内某総合病院内科病棟主任のX子さん。

96歳の前立腺肥大の御爺ちゃん患者さんなのですが、動きは鈍いものの自立はできています。性格は唯我独尊、かつてはそれなりに社会的地位があったと思われる患者さんです。彼には、50歳代の娘さんがいるのですが、これがまた父親に輪をかけて高慢チキ。看護師さんを一人一人つかまえては、「ウチの父が、ウチの父が~」と、30分~40分クレームをつけてきたそうです。「忙しいのに時間は取られるし、食事のメニューがどうちゃらとかって、ワガママなクレームばかり!」もう、ウルサイ!と心の中で叫びながら、笑顔で対応していたとか。

さらに、この御爺ちゃん患者さんも曲者で、夜中にちょくちょくオシッココールをしてくるそうで、尿瓶を持って駆け付けると既に衣類からシーツまでグッショリ・・・。なのになのに!「オマエが来るのが遅いからじゃ~!」と怒鳴りつけるとか。夜間だけでもオムツを勧めていても、ガンとして受け付けない。

「あの親子には振り回されっぱなしよ。」と言ってはいるもののW子さんの表情は明るいのです。「最近では、夜中に尿を取っている最中に寝てしまうのよね。私たち看護師に甘えてるのよ」と。看護師さんは、ひろ~い心とふか~い懐で患者さんをケアしているんですね。

そして、極めつけの患者さんのエピソードを。

生活保護を受けている患者さんは、医療費も入院費はタダ。ベッドの空き具合によっては一人部屋であっても6人部屋であってもタダであることには変わりはないそうです。

某県立総合病院外科病棟勤務のS子さんの病棟に足と腰椎と肋骨を圧迫骨折した60歳過ぎ、寝たきりの生活保護受給患者さんが入ってきました。空きがなかったので、仕方なく2人部屋で入院。その患者さんは、ガランとした部屋で平穏に過ごしていましたが、6人部屋が空いたのでそちらへ移動してもらいました。しかし、そこには重篤な患者さんがいてイビキや痰取りやらで何かと騒がしい病室。時おり、オムツ替え等で臭ってくるときもありました。

元来わがままなこの生活保護患者さんのストレスは溜まりに溜まり、その矛先は看護師さんに向かってきました。毎日、若い看護師さんをつかまえてはグチュグチュ、ブツブツと文句をつける。たまりかねた師長が少々きつく諭すと、今度は病院の苦情受付窓口に泣きつき、虐待されていると訴える始末。それでも納得できないと、遂にはハンガーストライキに突入。モンスターペイシェントの極みとも言える患者さんだったそうです。しかし、S子さんは言います。「身寄りもない。働けない。寂しいやら惨めやらで、どうしていいかわかんないんだと思うのね。わがままで自己表現してるのよ。だからね、何となくあの患者さんの気持ちも理解できるのよね・・・」

「わがままだからイヤ!」と言ってそれが仕事に影響するうちは、一人前の看護師さんではないようです。

ライティング&投稿 小西 仁瑞